【ウェルビーイングとは】企業や個人の生産性を高め、人生を豊かにする秘訣

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ウェルビーイングとは、仕事や生活などすべての面で充実している状態を表す言葉で、英語では「幸福」などと翻訳されます。最近では企業や社会においてもウェルビーイングに関する取り組みが増加中です。今回は、ウェルビーイングの概要や注目される理由、メリットや個人で取り組む方法を紹介します。

【ウェルビーイングとは】言葉の意味や定義

ウェルビーイングとは「仕事や生活などすべての面で充実している状態」を表す言葉として注目されています。ここではウェルビーイングの定義や、似た意味を持つ他の言葉との違いについて紹介します。

ウェルビーイングとは、心身ともに満たされた状態が続くこと

ウェルビーイングは「幸福」と訳されることが多く、精神的、身体的、社会的に良好な状態が続いていることを指します。1946年、世界保健機関(WHO)が次のように概念を提唱しました。
“健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが 満たされた状態にあることをいいます。”
引用元:世界保健機関憲章前文 (日本WHO協会仮訳)
つまり、仕事も生活もすべて充実している状態がウェルビーイングなのです。

ウェルビーイングに必要な5つの要素と判断基準

アメリカのギャラップ社が、ウェルビーイングの大規模な調査を行いました。以下の5つの要素が、今の自分に当てはまっているか確認してみましょう。

<ウェルビーイングを構成する5つの要素>
 1.キャリア:仕事や自身のキャリアへの充実感や達成感を得ているか
 2.ソーシャル:良好な人間関係を築き、愛情や絆を感じているか
 3.ファイナンシャル:適切な資産管理や運用ができ、人生を支える資産の安心感があるか
 4.フィジカル:心身ともに健康で、ポジティブなエネルギーを持っている状態か
 5.コミュニティ:住んでいる地域などに所属している安心感を得ているか

ウェルフェアやQOLとの違い

ウェルビーイングと似たような言葉で、ウェルフェアとQOLがあります。ウェルフェアは「福祉」と訳され、福利厚生などを指す言葉に良く使われます。健康や働きがいの質を向上させるのが福利厚生なので、ウェルビーイング実現の手段としてウェルフェアを整備するという関係性です。
一方のQOL(Quality of life)は「生活の質」や「生命の質」などと言われ、特に医療や介護業界でよく使われる概念です。健康に気を付けたり、生きがいを見つけたりして、生活の質を上げるための行動を指します。つまり、QOLが良い状態を維持することがウェルビーイングと言えるでしょう。

今、ウェルビーイングが注目を集める理由とは

ウェルビーイングが注目を集める理由には、健康経営やSDGsが密接に関わっていることをご存じでしょうか。ここでは、その理由を具体的に紹介します。

健康経営の土台となる考え方だから

ウェルビーイングの考え方は、健康経営の土台になります。健康経営とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。
経済産業省は「健康経営優良法人認定制度」を導入し、健康経営を実現する優良企業の可視化を促進しています。近年の少子高齢化や労働人口の減少などを解消すべく、国を挙げた健康経営への取り組みが進んでいるのです。健康経営により企業が得られるメリットは、リスクマネジメントや生産性向上など多岐に渡ります。

SDGsの先に世界が目指すべきゴールだから

2030年までに達成すべき国際目標であるSDGs(Sustainable Development Goals 持続可能な開発目標)の観点からも、ウェルビーイングの概念が注目されています。SDGsの中には「すべての人に健康と福祉を」や「働きがいも経済成長も」という目標があり、企業がこれを達成するにはウェルビーイングの概念が必要と言われています。ウェルビーイングは2030年以降の世界が目指すべき新たなゴールとして、今後ますます注目を集めていくでしょう。

ウェルビーイングが企業や社会全体にもたらすメリットとは

ウェルビーイングが企業や社会全体にもたらすメリットは多岐に渡ります。ここでは、代表的なものを3つ紹介します。

社会の多様化に対応できる

インターネットの普及や社会の多様化が進む中で、さまざまな背景を持つ人と関わる機会が増えています。また、新型コロナウイルスによる生活様式の変化は、ワークスタイルにも多くの変化をもたらしました。
これからは個々の事情を大切にしながら、柔軟な働き方を選択できるようになることが望まれるのではないでしょうか。どのような労働環境でも、幸福を感じて充実した生活を送れるようにするには、ウェルビーイングの考え方が重要なのです。

人材確保につながる

日本は少子高齢社会で、働き手が減少しています。人材確保のためには「選ばれる企業」を目指さなくていけません。仕事と育児、病気療養の両立など、働きやすい仕組み作りが企業にとっての急務です。ウェルビーイングに取り組むことで職場環境が改善されれば、自ずと社員満足度が上がり、人材の流出防止につながるでしょう。

業績や株式評価の向上が見込める

ウェルビーイングの取り組みは、エンゲージメント(会社と社員の相思相愛度合い)向上につながると考えられています。社員が幸福感を持って高いモチベーションで仕事に取り組めれば、生産性が向上して企業の業績アップも見込めます。
また、健康経営やウェルビーイング推進の取り組みが認められれば「健康経営銘柄(東京証券取引所上場企業に限る)」に選ばれるなど、株式評価にも直結するかもしれません。

ウェルビーイング実現のために個人ができる取り組み4つ

企業だけではなく一個人としての生活でも、ウェルビーイングを実現することはできます。心身ともに健康で充実した生活を送るには、心と身体の両方を意識して取り組むと良いでしょう。ここでは、個人で取り組めるウェルビーイングの実践法を紹介します。

1. 仲間や家族と積極的に雑談する

職場も家庭も、雑談の少ない環境だとギスギスした雰囲気になりがちです。心のつながりや信頼関係を深めるため、自分から心を開いて接すると良い関係を築きやすくなるでしょう。
そこでおすすめしたいのが、仲間や家族、職場の同僚などと積極的に雑談の機会を持つことです。コミュニケーションの機会を増やして深い信頼関係を築ければ、心が満たされてウェルビーイングにつながります。

2. その日に感じたことを振り返る

1日の終わりには、その日に感じたことを振り返ってみてください。良い感情のまま眠りにつくために、ポジティブな気持ちになるように行動すると心身の健康につながります。
もしネガティブな気持ちになった場合は、ネガティブなことや気になることをノートに書き出し、頭の中を空っぽにして眠りにつくのも、心の健康を保つ一つの策です。

3. 感謝の気持ちを伝える

感謝の気持ちは「副作用のない良薬」と言われています。感謝の気持ちを持つとポジティブになり、人間関係を良好にする効果があるためです。家族などの身近な人に感謝を伝え、大切にすることから始めてみると良いでしょう。

4. 食事を楽しむ

食事に気を遣い、健康を維持することもウェルビーイングの実践に欠かせません。長生きする人が増えて人生100年時代に突入した今こそ、心身ともに充実して健康に過ごすのは重要な課題と言えます。適度な運動に加えて、食事を楽しみながらいろいろな食材をとり、身体の健康を保ちましょう。

ウェルビーイングとは持続する幸福。ぜひ取り組みを進めましょう

ウェルビーイングは最近注目されている、幸福に関する概念です。SDGsの観点からも、社会全体で取り組むべきものだと考えられ始めています。人材確保や業績向上のために、ウェルビーイングの取り組みを始める企業も増えてきました。
人生をより豊かに送るために、個人の取り組みとしてウェルビーイングを意識した行動も必要でしょう。まずは自身の健康を考えて、食事などから取り組むと良いかもしれません。