フレイルとは、加齢に伴い身体や精神的な衰えが進むことです。フレイルを放置すると日常生活に支障が出てきて、介護が必要な状態になってしまう可能性があります。しかし、予防によって健康な状態に戻せれば、健康寿命を延ばすことにつながります。本記事ではフレイルとは何か、またその予防法についても詳しく紹介します。
- フレイルとは?意味と簡単チェックリスト
- フレイルとは身体と精神が衰えること
- あなたはフレイル? チェックリスト
- フレイル予防には運動・食事・社会生活への参加がカギ
- フレイル予防1. 運動の重要性とおすすめの運動
- 運動は健康寿命を延ばす点でも重要
- 無理せず続けられる運動から始める
- おすすめの運動① 脚力を鍛えられる【スクワット】
- おすすめの運動② 腹筋を鍛えられる【上体起こし】
- フレイル予防2. 食事の重要性とおすすめレシピ
- 栄養不足や低体重はフレイルを引き起こす
- イミダゾールジペプチドが筋力アップのカギ
- おすすめイミダレシピ「高野豆腐入り親子丼」
- フレイル予防3. 社会生活の重要性と具体的な内容
- フレイルの予防には社会とのつながりが重要
- 具体例①ボランティア活動・趣味の集まりに参加する
- 具体例②人と食事をして「孤食」を避ける
- フレイルを予防して、いきいきとした日々を送ろう
フレイルとは?意味と簡単チェックリスト
フレイルとは、加齢によって身体的にも精神的にも老い、衰えていくことを言います。フレイルの状態であっても、早期に改善の対策を講じれば、元の健康な状態に戻れる可能性があります。フレイルの原因を知り、予防に取り組みましょう。
フレイルとは身体と精神が衰えること
フレイルは以下のように、加齢による心身の変化や、社会・環境的な要因が重なって起こります。
- 身体的要因…身体機能の低下、筋力の低下などによる活動量の低下
- 精神・心理的な要因… 鬱や認知症など
- 社会的要因…社会交流の減少による閉じこもりや孤立など
加齢により筋力や筋肉量が低下すると、基礎代謝も低下していきます。そうなると、1日のエネルギー消費量が減少。食欲や食事量が減り、さらには低栄養の状態となります。そして、このサイクルが繰り返されることとなるのです。
そこに認知機能の低下なども加わると、日常生活に支障をきたすようになります。そのため、早めにフレイルに気づき対策を講じることが大切です。
あなたはフレイル? チェックリスト
下記の5項目のうち、3項目以上当てはまる場合はフレイル、1~2個当てはまる場合はフレイル予備軍である可能性があります。ご自身がフレイルかどうか、チェックしてみましょう。
□ 体重減少:意図しない年間4.5kgまたは5%以上の体重減少
□ 疲れやすい:何をするのも面倒だと週に3~4日以上感じる
□ 歩行速度の低下
□ 握力の低下
□ 身体活動量の低下
□ 疲れやすい:何をするのも面倒だと週に3~4日以上感じる
□ 歩行速度の低下
□ 握力の低下
□ 身体活動量の低下
フレイル予防には運動・食事・社会生活への参加がカギ
フレイルを予防するには、運動・食事・社会活動への参加の3つがカギとなります。
運動は、筋力を維持するために行います。無理のない範囲で、個人に合った適度な運動をすることが大切です。また、運動だけでなく、栄養バランスに考慮した食事をすることも重要。食事には、筋力を付ける食材を積極的に摂り入れるよう意識すると良いでしょう。そして、前向きな社会生活を送るためにも、社会活動へ参加することも大事です。人とのつながりを意識して、自分に合った活動を見つけてください。
次項より、運動と食事の具体的な予防法を紹介します。
フレイル予防1. 運動の重要性とおすすめの運動
運動不足は、筋力の低下を招きフレイルの原因になります。普段の生活の中で動くことを意識したり、家の中でできる運動などを取り入れたりして、フレイルの予防につなげましょう。運動の重要性とおすすめの運動を紹介します。
運動は健康寿命を延ばす点でも重要
加齢による筋肉の衰えであるサルコペ二アや、筋肉の運動器に障害を抱えているロコモティブシンドロームなどの症状がある人は、フレイルになりやすいとされています。そのため、フレイル予防にはこれらのリスクを減らすことが重要です。また、運動をすることは、生活習慣病を防ぎ健康寿命を延ばす点でも大切です。
無理せず続けられる運動から始める
フレイル予防の観点で運動をする場合には、無理をせず、まずは日常生活の中で身体を動かすことを意識すると良いです。例えば、エレベーターやエスカレーターではなく階段を使うようにしたり、掃除や洗濯などで身体を動かしたりしましょう。また、ウォーキングやお風呂の後にストレッチをするなど、自分が続けやすいものから始めてください。
運動時間の目安としては、散歩などのウォーキングなら20分程度、ストレッチなどなら1日10分程度、脚や体幹を鍛えるトレーニングなら1週間に2回程度です。その他、筋肉に負荷をかけて、筋肉のタンパク合成を促すレジスタンス運動もフレイル予防におすすめです。
おすすめの運動① 脚力を鍛えられる【スクワット】
自宅でできるレジスタンス運動の中から、スクワットと上体起こしの2つを紹介します。スクワットは大腿四頭筋(だいたいしとうきん)や、大臀筋(だいでんきん)を鍛えることができます。
<スクワットのやり方>
- 両足を肩幅に開き、イスの背やテーブルなどを持つ。
- かかとが浮かないように足の裏をしっかりと床につけ、背筋を伸ばしてお尻をまっすぐ下に落とす。
- 太ももの前側を意識しながらゆっくり10回行う。
おすすめの運動② 腹筋を鍛えられる【上体起こし】
上体起こしは主に腹筋など、身体の前面を鍛えることができます。
<上体起こしのやり方>
- 両膝を立てて仰向けに寝て、両手を胸の前で交差させる。
- 頭を持ち上げ、おへそを覗き込むように意識する。
- お腹を意識しながらゆっくりと頭を下げ、これを10回繰り返す
フレイル予防2. 食事の重要性とおすすめレシピ
フレイル予防のためには、食生活に気を付けることも重要です。特にたんぱく質は筋肉を始め、身体の組織を作るのに欠かせないので、積極的に摂るように意識しましょう。食事の重要性と、たんぱく質をたっぷり含むおすすめのレシピを紹介します。
栄養不足や低体重はフレイルを引き起こす
加齢により食事量が減ることはありますが、低栄養や低体重はフレイルを引き起こす要因になります。なぜなら、身体は低栄養の状態になると筋肉をエネルギー源とするため、体重や筋肉量が減ってしまうからです。
これらを防ぐためにも、食事にはたんぱく質を積極的に取り入れましょう。たんぱく質は、筋肉や内臓など、身体のあらゆる組織を作っています。また、脂質や糖質など、エネルギー源になるものをしっかり摂ることも大切です。年齢を重ねても、規則正しくバランス良く食べることがフレイル予防につながります。
イミダゾールジペプチドが筋力アップのカギ
たんぱく質である鶏むね肉には、イミダゾールジペプチド(以下、イミダ)が含まれています。イミダは摂取すると筋肉中に蓄積して運動パフォーマンスを向上させること、認知機能の低下抑制や疲労軽減などにも良いことが分かっている成分です。イミダは鶏むね肉の他にも、豚肉・牛肉やマグロ・サケなどにも含まれているので、これらの食材を日々の食事に取り入れてはいかがでしょうか。
おすすめイミダレシピ「高野豆腐入り親子丼」
高野豆腐入りで、たんぱく質や鉄分も一緒に摂れるヘルシーなレシピです。丼物ならご飯が進むので、糖質が不足する心配もいりません。
<材料1人分>
- 高野豆腐1枚
- 鶏むね肉(皮なし)40g
- たまねぎ1/4個
- 卵1個
- ごはん適量
【A】お肉の下味
- 酒小さじ1
- しょうゆ小さじ1/2
【B】
- めんつゆ(三倍濃縮)大さじ3
- 水2/3カップ
<作り方>
- 鍋に【B】を入れ火にかけ、沸騰したら高野豆腐、鶏肉、たまねぎを入れて10分煮る 。
- 火を少し強めて溶き卵を回しながら入れたら、好みの固さで火を止める。
- 器にごはんを盛り、2をかけて完成。
フレイル予防3. 社会生活の重要性と具体的な内容
フレイル予防には、人とのつながりが欠かせません。社会生活へ参加して、フレイルを予防しましょう。ここでは社会生活の重要性と、具体例を紹介します。
フレイルの予防には社会とのつながりが重要
近年では、社会生活へ参加する機会が減ると、フレイルにつながりやすいことが分かってきています。例えば、友人などと週に1回以上の交流をしていると、活動能力の障害や死亡のリスクが低いとされています。
また、同じ世代だけではなく、違う世代とのつながりを持つことも大切。自分とは異なった背景を持つ人との付き合いが多い人の方が、うつになりにくく、認知機能低下も起こりにくいと言われています。社会とのつながりを持ちながら、さまざまな刺激を受けることが気持ちのハリにもつながるでしょう。
具体例①ボランティア活動・趣味の集まりに参加する
社会とのつながりを保つため、人と交流できる場を探しましょう。例えば、ボランティア活動や地域の活動を始め、スポーツや趣味の集まりなど、自分に合った活動を見つけて参加するなどです。頻度としては、月に1回以上参加すると良いですが、時間や頻度が多すぎると逆効果とも言われています。楽しみつつ、自分のペースで続けられるものが理想です。
具体例②人と食事をして「孤食」を避ける
外出をしなくても、社会生活への参加は可能です。友人や家族と会話をしたり、食事をしたりするのも社会生活への参加の一環と言えます。
一方で、家族と同居していても1人で食事をしている人も多いのではないでしょうか。1人での食事、いわゆる“孤食”はフレイルのリスクを高めてしまいます。栄養バランスの良い食事を摂ることに加えて、人と一緒に食事をする“共食”を意識してフレイルを予防しましょう。
フレイルを予防して、いきいきとした日々を送ろう
フレイルを予防するには、運動・食事・社会生活への参加が重要です。運動も食事も、日々の生活の中で少しずつ工夫するだけですぐに取り入れられます。健康寿命を延ばし、いつまでもいきいきと過ごすために、できることから始めてみてはいかがでしょうか。