「夜中に目が覚める」ことが身体に与える影響。良質な睡眠をとる5つの習慣

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夜中に目が覚める原因は、ストレスや生活習慣などが考えられます。良質な睡眠は仕事のパフォーマンスを上げたり、身体を健康に保ったりするためにとても重要です。今回は、睡眠の重要性や夜中に目が覚める原因を紹介します。あわせて、良質な睡眠をとるために意識したい生活習慣と、食事習慣についても見ていきましょう。

この記事の監修医師
鈴木智先生/加賀ぐっすりクリニック院長・医療法人すのあ会理事長

鈴木智先生/加賀ぐっすりクリニック院長・医療法人すのあ会理事長

金沢医科大学医学部卒業。舞鶴市民病院等での臨床研修を経て、2003年金沢駅前ぐっすりクリニック開院、2004年より加賀ぐっすりクリニック院長を務める。医療法人すのあ会理事長。医師+(いしぷらす)所属。

夜中に目が覚める人は注意! 睡眠が果たす重要な役割

夜中に目が覚める女性
睡眠は、疲労回復や記憶の定着など、日々の生活や仕事のパフォーマンスを維持するのに重要な役割を担っています。まずは、睡眠の役割から見ていきましょう。

心身の疲労を軽減する

睡眠の代表的な効果は、身体を休息させて疲労を回復させることです。眠ることで身体を休ませて傷ついた細胞の修復をしたり、心身を休ませてストレスを軽減したりします。
夜中に目が覚めてしまうことで十分な睡眠がとれないと、疲労を思うように回復できません。そのため、朝起きても疲労感が抜けずに、日中の仕事や勉強などのパフォーマンスが落ちる原因になります。

免疫力を高めて身体の健康を維持する

睡眠時には、成長ホルモンが分泌されることで身体の修復などを行うと同時に、免疫細胞も作られています。睡眠時間が短かったり、質の悪い睡眠をとっていたりすると、免疫細胞が減少してしまい免疫力が落ちてしまうことがあります。そうすると、風邪をひきやすくなるなど、健康を損なう可能性があります。

記憶の整理と定着をする

睡眠には心身を休ませ、記憶の整理や定着を促す役割もあります。睡眠のリズムには、深い眠り(ノンレム睡眠)と浅い眠り(レム睡眠)があり、リズム良く繰り返すことで記憶を定着させます。そのため、夜中に目が覚めてしまうと睡眠のリズムが途切れてしまい、記憶の定着が悪くなると考えられます。

食欲をコントロールして肥満を防止する

しっかり睡眠をとっていれば太りにくいと言われています。これは、食欲をコントロールするホルモンが睡眠によって適切に働き、カロリーの過剰摂取を防ぐことができるからです。
一方、睡眠不足の場合は肥満になりやすいと言われています。睡眠時間が短いと食欲を抑制するホルモンの分泌が低下し、逆に食欲が増進するホルモンが多く分泌されるからです。そのため必要以上に食欲が出る、またはケーキなどの糖質や脂質が高いものを欲してしまうことがあります。睡眠不足は肥満だけでなく、生活習慣病につながる可能性があるので注意が必要です。

夜中に目が覚める主な原因

寝起きにパジャマで悩む男性
夜中に目が覚める場合、加齢やストレス、生活リズムの乱れなどさまざまな原因が考えられます。ぐっすりと深く眠る質の良い睡眠をとるためには、原因を知って対策をすることが大切です。ここでは、夜中に目が覚める時に考えられる原因について紹介します。

加齢に伴う変化

人は加齢によって浅い眠りの時間が増え、目が覚めやすくなります。なお、厚生労働省が2019年(令和1年)に調査した国民の「睡眠状況」では、1日の平均睡眠時間は「6時間以上7時間未満」の割合が最も高い※ことが分かっています。以下は、各年代で最も回答が多かった平均睡眠時間の一覧です。

<年代別:平均睡眠時間>

【男性】

  • 20代:6時間以上7時間未満
  • 30代:5時間以上6時間未満
  • 40代:5時間以上6時間未満
  • 50代:5時間以上6時間未満
  • 60代:6時間以上7時間未満
  • 70代以上:6時間以上8時間未満

【女性】

  • 20代:6時間以上7時間未満
  • 30代:6時間以上7時間未満
  • 40代:6時間以上7時間未満
  • 50代:5時間以上6時間未満
  • 60代:6時間以上7時間未満
  • 70代以上:6時間以上7時間未満

強いストレスやプレッシャー

強いストレスやプレッシャーを感じると、神経のバランスが崩れて脳が興奮状態となります。そうすると、脳が休まらずに酷使される状態となるため、熟睡できずに目が覚めてしまうことがあります。朝までしっかり眠るために、できるだけストレスを溜めないように過ごすことが大切です。

常習的なアルコールの摂取

アルコールにはリラックス効果があるため、寝つきは良くしますが、睡眠の質を下げます。また、利尿作用があるので、眠っている途中でトイレに行きたくなり起きてしまうこともあるでしょう。アルコールが代謝されるまでにかかる時間は約3~4時間程度なので、代謝された後にトイレに行きたくなるのです。

生活リズムの乱れ

生活リズムが乱れると、自律神経も乱れてよく眠れなくなります。自律神経は活動的な時に優位になる「交感神経」と、リラックスする時に優位になる「副交感神経」の2つがあり、このバランスが崩れると身体に不調をもたらします。自律神経が乱れる原因は生活リズムの乱れだけではなく、運動不足や栄養バランスが偏った食事なども挙げられます。

生活習慣病などの病気

代表的な生活習慣病は、高血圧・糖尿病・肥満などです。高血圧や肥満の人は、夜中に目が覚めやすいと言われています。また、糖尿病の人は喉が渇きやすく水分を多く摂る傾向があるため、眠っている最中にトイレに行きたくなることが多いです。
その他、夜中に目が覚めてしまう病気としては、睡眠時無呼吸症候群があります。この病気は眠っている時に舌が喉に落ちることで無呼吸状態になってしまい、息苦しさから目が覚めてしまいます。

夜中に目が覚める時に見直したい5つの生活習慣

夜中に目が覚めてしまって寝不足の人は、まず日々の生活習慣を改善しましょう。ぜひ取り組んでほしい5つの生活習慣について紹介します。

①寝室を快適な空間にする

薄明りの寝室
寝る時の室内環境は重要です。寝室は適度な明るさに調整し、静かに眠れる空間をつくりましょう。例えば、暗闇が苦手などの理由で電気を付ける場合は50ルクス未満が理想で、豆電球の明かり程度が良いです。
また室温は夏だと25~26度、冬だと16~19度が適温で、湿度は50パーセント程度だと快適に眠れるとされています。あわせて、リラックスするために音楽やアロマなどを使うのもおすすめです。

②寝る90分ほど前に入浴する

ゆっくりとお風呂につかる男性
人は、身体の内部の温度である深部体温が下がることで眠気を感じます。そのため、入浴は寝る90分ほど前にしておくと良いです。
まず、入浴時に38~40度ほどのぬるめのお湯に、約20分つかることで深部体温は上がるとされています。その後、約90分かけて徐々に深部体温は下がっていくため、このタイミングで寝る状態が整っていればスムーズに寝つけるでしょう。また、ぐっすりと熟睡できるため、夜中に目が覚めにくくなります。

③アルコールやカフェインが含まれていない飲み物を飲む

ハーブティーが入ったカップとポット
カフェインには覚醒作用があるので、寝る前の摂取は控えましょう。寝る前に飲むならホットミルクやハーブティーなど、カフェインが含まれていないものが適しています。また、アルコールも夜中に目が覚めるなど睡眠の質が悪くなるので控えるのが理想です。

④起床・就寝時間は一定にする

すっきりと起きる男性
人は一定のリズムで生活をしているので、起きる時間と寝る時間を同じにしておくと、体内のリズムが整います。人は覚醒した後、14~16時間後に自然と眠くなりますので、そのリズムで生活すると熟睡できるかもしれません。忙しくて一定の時間に寝られない人は、できるだけ同じ時間に起きる工夫をすると良いでしょう。

⑤寝る前にブルーライトを見ない

暗闇でスマホを見る男性
寝る1時間前からは、スマホなどを見ないようにしましょう。スマホやテレビなどが発するブルーライトは強い光であるため、見ると脳が昼間と錯覚して覚醒してしまいます。どうしてもこれらを見る場合は、ディスプレイの明るさを調整したり、ブルーライトカットフィルムなどを使ったりするのがおすすめです。
なお、生活習慣を見直しても夜中に目が覚める場合は、専門医の心療内科や精神科の受診を検討してみてはいかがでしょうか。

夜中に目が覚める時に意識したい3つの食事習慣

食事をする男性
生活習慣だけでなく食事の摂り方を意識する、または疲労軽減に良い栄養素を摂ることで、質の良い睡眠が得られるようになるでしょう。ここでは、睡眠に良い食事習慣やおすすめの栄養素を紹介します。

①夕食は寝る3時間前までに済ませる

食事は、寝る3時間前までに終わらせるようにしましょう。なぜなら、消化は寝ている間に行われるため、寝る直前に食事をすると脳が休まらずに眠りが浅くなるからです。消化にかかる時間は約3時間と言われているので、寝る時間を考慮して食事を終わらせると良いでしょう。
どうしても寝る直前に食事をする場合は、消化に良いうどんやおかゆなど、胃の負担を減らす工夫をしてください。

②睡眠の質を上げる栄養素を意識して摂取する

睡眠ホルモンと言われ、脳をリラックスさせるセロトニンの素になるトリプトファンは、鶏肉・魚介類・大豆製品・ゴマなどに多く含まれています。また、身体の深部温度を下げる働きをするグリシンも、睡眠の質を上げる栄養素で、魚介類に多く含まれています。夜中に目が覚めてしまう場合は、これらの栄養素を意識して摂取するのがおすすめです。

③疲労軽減に役立つイミダゾールジペプチドを摂取する

睡眠不足は疲労の回復を妨げます。何らかの理由で睡眠不足の解消が難しい場合は、疲労軽減に役立つ栄養素であるイミダゾールジペプチド(以下、イミダ)を摂ると良いでしょう。イミダには抗酸化作用があるため、体内の毒になる活性酸素を除去するのを助けます。
また、日本ハム㈱中央研究所の研究で、イミダは中高年の疲労軽減にも有用な効果があると分かっています。

夜中に目が覚める人におすすめのイミダレシピ

野菜と鶏ひき肉のとろとろスープ
「野菜と鶏ひき肉のとろとろスープ」は、疲労軽減が期待できるイミダを効率良く摂取できるレシピです。しょうがや野菜も入ったスープなので、軽めの夕食としてもおすすめです。鶏むね肉にはイミダが豊富に含まれています。疲労対策としては、イミダ200~800㎎(鶏むね肉25g~100g程度)を2週間ほど続けると良いと言われています。

夜中に目が覚めるなら、まずは生活・食事習慣を見直そう

すっきりと朝を迎えた男性
睡眠には、身体の回復や記憶の定着など、日々の生活や仕事のパフォーマンスを維持する重要な役割があります。そのため、夜中に目が覚めるなどの睡眠不足に陥ると、さまざまな悪影響が考えられます。今回紹介した生活習慣や食事習慣を試して、ぜひ快適な睡眠を手に入れましょう。