健康寿命を縮める原因と延ばす方法とは。生活の中で意識したいポイントを紹介

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健康な状態のまま生活できる期間のことを言う「健康寿命」は、平均寿命とは異なります。生活の充実や、社会保障を維持するためにも、健康寿命を意識することはおすすめです。そこで今回は、健康寿命と平均寿命の違いや健康寿命を縮める原因、健康寿命を延ばすためのポイントなどを紹介します。

この記事の監修医師
宮崎郁子先生/東京国際クリニック 医科 副院長

宮崎郁子先生/東京国際クリニック 医科 副院長

東京医科大学医学部医学科卒業後、東京医科大学病院 消化器内科、東京医科大学病院 内視鏡センター助教、牧野記念病院 内科を経て、2015年より東京国際クリニックの医科 副院長を務める。

健康寿命とは? 平均寿命との違い

運動する女性
近年は平均寿命が延びていることで、健康寿命に注目が集まっています。そこで最初に、健康寿命と平均寿命について見ていきましょう。

健康寿命とは『健康的に日常生活を送れる期間』のこと

健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義された言葉です※1。年齢を重ねると身体の不調を感じやすいですが、健康寿命は特に支援や介護の必要がなく自立して生活できる期間を指しています。健康寿命は2000年にWHO(世界保健機関)が提唱したもので、平均寿命との区別が課題に挙がっています。
※1平均寿命と健康寿命|e-ヘルスネット(厚生労働省)

平均寿命と健康寿命は異なる

平均寿命とは、「0歳における平均余命」を意味します。厚生労働省が発表した2019年時点の平均寿命と健康寿命は次の通りです。

男性 女性
2019年時点の平均寿命※2
81.41歳
87.45歳
2019年時点の健康寿命※3 72.68歳 75.38歳
日本人の平均寿命は延びていますが、実は健康寿命が延びることも非常に重要です。健康寿命が延びなければ、本人の望む生活の質や希望が叶えられない、医療費や社会保障が圧迫されるといった問題が生じてしまいます。
表からも分かるように、平均寿命と健康寿命の差は男性が約9歳、女性が約12歳あります。この差から、健康で何の支障もなく生活していた時期から死亡までの期間が不健康で、何らかの支援や介護が必要であったことがうかがえるでしょう。

健康寿命を縮める4つの原因

体調が悪い男性
健康な状態で長生きするには、健康寿命を縮める原因を知ることが大切です。今回は運動不足、偏った栄養や食事習慣、生活習慣病、喫煙の4つを紹介します。

1.運動不足

運動不足は持久力や筋力の低下などを引き起こし、不健康につながります。運動不足の人は、運動習慣のある人に比べてがんや心臓疾患、認知症など、健康寿命を脅かす病気にかかりやすいと言われているため注意が必要です。

2.偏った栄養や食事習慣

偏った栄養や食事習慣は、健康な食事習慣の人に比べると死亡リスクが高くなる傾向にあります。摂取する栄養が偏ると肥満や病気のリスクが上昇する他、糖質の多い食事を摂ると身体の中で糖化が進み、老化を早めてしまうことも考えられるでしょう。
また、脂っこい食べ物の多量摂取は、消化速度が遅くなることで身体に負担がかかったり、血液の状態がドロドロになったりと、身体の不調を招きやすくなります。

3.生活習慣病

生活習慣病は、健康寿命を脅かす最大の原因とも言われています。高血圧や糖尿病といった生活習慣病の恐ろしさは、自覚症状のないケースが多いことです。気づいた時には症状が進行しており、重大な病気につながる合併症を引き起こす危険性もあります。

4.喫煙

喫煙が健康に悪いことは、最近では常識になりつつあります。その理由として、タバコには多くの発がん性物質が含まれており、喫煙によってがんになるリスクが上がるとされているためです。
また、厚生労働省の調べによると、喫煙者の一定期間内の死亡率は非喫煙者の約2倍で、さらに平均寿命は10年短いとされています※4。しかし、禁煙を10年続ければ、タバコによるがんの発生率を低下させる効果があるとも言われています。
※4健康日本21(第2次)の推進に関する参考資料

健康寿命を延ばすには介護・認知症・フレイル予防も必要

車いすに乗る男性とそれを押す女性
健康寿命を延ばすには、介護・認知症・フレイルを予防することが重要です。ここでは健康寿命延伸の妨げとなる要因や、フレイル予防について紹介します。

フレイル予防を意識する

フレイルとは、2014年に日本老年医学会が提唱した概念で、健康体と要介護状態の中間の状態を表す言葉です。身体の衰えはいきなり訪れるわけではなく、徐々に活動量が減少したり、認知機能が衰えたりします。そのままフレイル状態がどんどん進むと、介護が必要な身体になってしまう可能性を否めません。

健康寿命延伸の妨げとなる要因を防ぐ

健康に過ごしてきたと思っても、加齢とともに身体の不調が出てきやすいものです。特に介護や認知症、フレイルは健康寿命延伸の妨げとなります。  
介護が必要になる原因は、認知症や脳卒中などの脳血管疾患や、転倒・骨折、心臓疾患などです。これらを防ぐため、健康習慣を見直して衰えに打ち勝てるような身体作りをすること、そしてフレイル予防などを意識しましょう。
そこで生まれたのが、虚弱の状態を脱して健康体を維持する、フレイル予防という発想です。フレイル予防は、健康寿命を延ばすことにもつながります。

健康寿命を延ばすためにできること

健康な状態が長く続けば、老後にやりたいことができ楽しみも増えるでしょう。次に、フレイル予防にもつながる健康寿命を延ばすためにできることを紹介します。

無理のない範囲で運動をする

運動をする女性
運動不足は健康寿命を縮める原因になるため、運動習慣を身につけることが重要です。筋力は加齢とともに低下しやすいので、定期的な運動によって筋力の低下を防ぎ、健康的な身体作りを目指しましょう。
そこでおすすめなのが、息が少しあがる程度のウォーキングです。ただし、無理はいけません。まずは1日に30分を目安に、できる範囲で運動してください。無理をしてしまうと転倒によって骨折し、そのまま寝たきりの状態になる可能性も考えられます。また、運動の際は水分補給をしっかり行うことも大切です。

コミュニティーに参加する

女性同士の交流会
健康寿命やフレイル予防に重要なのは、精神的な充実感を得ることです。高齢になると外出する機会や気持ちが減少しやすいので、新しい習い事やボランティア活動など、社会との接点を持つと良いでしょう。
例えば、散歩の途中に近所の人と話す程度でも構いません。人とのコミュニケーションは認知症やフレイル予防に役立つため、積極的な外出をおすすめします。

睡眠をしっかりとる

背伸びをする男性
睡眠は、身体の休息に非常に重要です。睡眠不足になると生活習慣病のリスクが上がると言われており、高血圧や糖尿病などの発症率が高まると懸念されています。その他、食欲が旺盛になってつい食べ過ぎてしまい、肥満の原因につながる場合も。身体を健康に保つには、十分な睡眠をとって心身ともに健康な状態を作ることが大切です。

栄養バランスのとれた食事をする

バランスの良い食事
健康な身体を維持するためには、健康的な食事も重要です。そのため、栄養バランスの良い食事を心がけましょう。また、朝食は抜かずに1日3食しっかりと食べること、食べ過ぎないように腹八分目にすることなども意識してみてください。

健康寿命を延ばす食生活のポイント

健康寿命を延ばすには、運動だけでなく食事もとても大切なポイントです。そこで最後に、健康寿命を延ばす食生活のポイントを紹介します。

一汁三菜を基本に塩分や糖分に気を付ける

バランスの良い和食
食事の際は、以下の栄養素をバランスよく摂取しましょう。

<バランスよく摂取したい栄養素>

  • たんぱく質
  • 炭水化物
  • ビタミン
  • ミネラル
そして食事の基本は一汁三菜です。次のような組み合わせにすると栄養バランスをカバーできます。

<一汁三菜の例>

  • 主食:お肉やお魚など、たんぱく質が摂れるもの
  • 副菜:野菜や海藻など、ビタミンやミネラルが摂れるもの
  • 汁物:野菜をプラスする
また、塩分や糖質の摂り過ぎには注意が必要です。薄味にする、ソースや醤油の量を少なめにする、甘いお菓子や飲み物の量を控えるなど、少しずつ意識を変えていきましょう。

良質なたんぱく質を摂る

たんぱく質を含む食材
筋力の低下を防ぐには、筋肉の素になる良質なたんぱく質の摂取が効果的です。お肉やお魚、大豆製品などのたんぱく質は毎日摂るよう心がけましょう。ただし、脂質の摂り過ぎは肥満につながります。お肉はヒレ肉など、脂身の少ないものを選ぶと良いでしょう。

イミダゾールジペプチドを積極的に摂取する

イミダゾールジペプチドを含む鶏むね肉
イミダゾールジペプチド(以下、イミダ)とは、人の脳や筋肉に存在する物質で、鶏むね肉の他にカツオなどの赤身のお魚に多く含まれています。イミダの積極的な摂取で期待できる主な効果は次の通りです。

<イミダの摂取で期待できる効果>

  • 運動パフォーマンスの向上
  • 疲労軽減
  • ひざの筋力アップ
  • バランス能力のアップ
  • 活性酸素の除去 など
イミダレシピの鶏むね肉入りシャキシャキサラダ
手軽にイミダを摂取できる「鶏むね肉入りシャキシャキサラダ」レシピもぜひご覧ください。

健康寿命を延ばして楽しい老後を過ごそう

寄り添い笑う夫婦
健康寿命とは健康な状態のまま過ごせる期間のことで、「0歳における平均余命」を表す平均寿命とは別物です。最近は、平均寿命と健康寿命の差を縮めることがとても重要だと捉えられています。健康寿命を長く保つために、運動や食事など普段の生活を見直して、いつまでも元気にいきいきと過ごしましょう。