脳疲労が仕事と健康に与える影響。認知症対策にもつながる5つのポイントとは

#予防 #脳疲労 #認知症

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脳疲労とは、情報過多やストレスが続くことで、脳がオーバーヒートのような状態になっていることです。脳がオーバーヒート状態になると、睡眠不足や仕事中のミスが増えたり業務に集中しにくくなったりします。また、脳疲労は認知症につながる可能性も。今回は脳過労や認知症との関係を始め、脳疲労のチェック方法や予防法についても紹介します。※「脳疲労」とは、九州大学名誉教授(医学博士)藤野武彦先生が提唱した造語であり、正式な専門用語ではありません。

この記事の監修医師
伊藤たえ先生/医療法人社団 赤坂パークビル脳神経外科 菅原クリニック 東京脳ドック 院長

伊藤たえ先生/医療法人社団 赤坂パークビル脳神経外科 菅原クリニック 東京脳ドック 院長

脳神経外科、脳卒中専門医として、脳ドック、頭痛、認知症、頭部外傷、脳卒中などの診療に励む。患者様が安心でき、笑顔になれるよう丁寧な説明がモットー。

脳疲労とは? 主な原因や症状

疲れが溜まっている男性
脳疲労とは、情報が溢れている現代社会でなりやすい「脳がオーバーヒートしているような状態」のこと。自律神経のバランスが崩れ、身体に不調を招く恐れがあります。ここでは脳疲労の意味と原因、症状、認知症との関係性などを紹介します。

脳疲労になると自律神経の乱れが起こる

自律神経には交感神経と副交感神経の2つがあります。交感神経は、活動する時に血圧を上げるなど、興奮状態の時に働く神経。一方の副交感神経は夜などに血圧を下げ、落ち着いてリラックスする時に働きます。
脳がオーバーヒート状態になると、全身のコントロールをしている自律神経が乱れ、身体に不調が現れます。また、自律神経の乱れは臓器などにも影響すると言われています。

脳疲労の原因はストレスや情報過多など

脳がオーバーヒート状態になる原因は、情報過多とストレスです。情報過多とは、情報量が多すぎて脳が処理しきれない状態のこと。近年は、スマホなどの普及によってすぐに情報が手に入ります。しかし、情報量が多すぎると脳がうまく処理できず、脳のパフォーマンスが低下してしまうのです。特に、スマホやネット依存の人は、脳がこの状態になりやすいと言われています。
また、ストレス社会と言われる現代。厚生労働省の「労働安全調査」によると、仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じる労働者の割合は、約54.2%*に上ります。ストレスをずっと抱えていると脳がストレスの刺激に耐えられず、機能しなくなる場合もあります。
*出典元:“令和2年 労働安全衛生調査(実態調査) 結果の概況”厚生労働省webサイト
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/r02-46-50_gaikyo.pdf

脳疲労になると表れやすい身体の症状

脳がオーバーヒート状態になると、睡眠障害や味覚障害など、身体の不調が表れます。例えば朝に起きられない、食事の味がわからない、頭痛やめまいがするなどです。
また、脳の機能も低下するので、仕事で物忘れをしたり、イライラして集中力が続かなくなったりする場合も。作業をしていて飽きたり、眠たく感じたりする時は脳に負荷がかかっているサインです。

脳疲労は認知症の原因になる

脳のオーバーヒート状態が続くと、認知症を発症する危険度が高くなると言われています。脳を酷使すると、活性酸素が溜まり炎症が起きます。これは、活性酸素が溜まり続けることで、脳が酸化ストレスを受けるためです。
認知症の1つであるアルツハイマー型認知症の原因は、たんぱく質「アミロイドβ」が蓄積することと言われています。この「アミロイドβ」は、酸化ストレスによって蓄積が進行します。そのため、脳への酸化ストレスが多い人は、アルツハイマー型認知症を発症するリスクが高くなる可能性があります。したがって、酸化ストレスを抑えることは、認知症の予防につながるかもしれません。

あなたは大丈夫? 脳の元気度&スマホ依存度チェック

スマホを見るビジネスマン
普段の生活で、知らず知らずのうちに脳を酷使していませんか。また、スマホを操作しすぎている場合はスマホ依存になっていて、脳が情報過多状態になっている可能性も。脳の元気度&スマホ依存度チェックで、自分の状況を確認してみましょう。

脳の元気度チェック

以下の項目に1つでも当てはまる場合は、脳のパフォーマンスが低下している可能性があります。
□ さっき言われたことを忘れてしまう
□ 注意力や集中力がない
□ 物や人の名前が出てこない
□ 1つのことにこだわりやすい
□ やる気が起こらない
□ 落ち込むことが多い
□ 元気がない
□ 怒りっぽい
□ 人との約束を忘れることがある
□ 昨日の食事の内容を思い出せない
□ 物を覚えることが難しい

スマホ依存度チェック

スマホ依存が高い場合も脳が情報過多になり、脳のオーバーヒートにつながる可能性があります。以下のチェック項目が6個以上だと、スマホ依存の可能性が考えられます。
□ スマホをいつも手元に置いている
□ ちょっとした時間でも空いたらスマホを操作する
□ 疑問が浮かんだらすぐスマホで検索する
□ 覚えておきたいものなどすぐに「写メ」で記録をとる
□ 初めての場所にスマホなしではたどり着けない
□ 本などを見ず、スマホだけで調べものをしている
□ いつも時間に余裕がない
□ 情報に疎いと思われるのが怖い
□ スマホの音やバイブレーションの空耳が聞こえる
□ 寝る前に布団の中でスマホを操作している

脳機能の低下や認知症対策のための5つの方法

脳のパフォーマンス低下を改善するには、睡眠や食事を始めとした、生活習慣を改善してストレスを溜めないことが重要です。それにより、認知症対策にもつながるかもしれません。今日から実践したい、脳機能低下と認知症の予防方法を紹介します。

1.質の良い睡眠をとる

体を伸ばす男性
睡眠には疲労を回復したり、細胞を修復したりする重要な役割があります。睡眠時間の確保だけでなく、ぐっすりと深く眠れるように、睡眠の質を上げる工夫をすると良いでしょう。
おすすめなのは、寝る部屋を暗く静かにして、脳が休まる空間にすることです。また、寝る前に強い光を浴びると交感神経が優位になって脳が活性化してしまうので、スマホやテレビを見ないようにしましょう。お酒は睡眠の質が悪くなるので、寝る直前の飲酒は控えてください。また、お酒は活性酸素を発生させるため、飲む量に関しても少量が望ましいです。
さらに入浴に関しては、熱いお湯だと自律神経を刺激して、身体が興奮してしまうので気を付けましょう。ぬるま湯(38~40度)に10分くらい半身浴すると寝る時にリラックスでき、寝つきが良くなります。

2.適度な運動をする

自然の中で気持ちよく歩く夫婦
疲れている時に汗をかくほど激しい運動をすると、自律神経を刺激してさらに疲れてしまうことも。ほど良く血流を良くして、脳に酸素を運ぶような適度な運動が望ましいでしょう。例えば、汗をかかない程度のヨガやストレッチなどがおすすめです。

3.デジタルデトックスをする

読書をする女性
スマホはいつでも情報に触れられるので便利ですが、使いすぎは脳が情報過多になってしまいます。つい見てしまうスマホやPCを触らない時間を作ることを、デジタルデトックスと言います。デジタルデトックスを行うと、脳への負荷が軽減されて気分も良くなり、睡眠の質が上がるなどの効果が期待できるでしょう。
ついスマホを見てしまう人は、スマホと距離を置く時間を決めておく方法がおすすめです。

4.瞑想をする

屋外でヨガマットの上で瞑想をする女性
瞑想は、1日5分だけでも脳に良い影響があると言われています。
脳は、過去に起こったことや、未来への不安などを常に考えていてストレスを感じやすい部分です。瞑想を行うことで、自分の呼吸に集中して「今ここにあること」を意識することで、脳の休息を図れます。まずは5分だけでも良いので姿勢を正した状態で目を閉じて、呼吸を意識してみると良いでしょう。

5.抗酸化作用のある食事をする

鶏肉のグリルとレモンソース添え
バランスの良い食事は、身体だけでなく脳にも良い効果をもたらします。特に脳のオーバーヒート状態の原因となる酸化を防ぐには、抗酸化作用のある食材を食べるのがおすすめです。柑橘系の果物に含まれるクエン酸や、食肉や魚肉などに含まれるイミダゾールジペプチド(以下、イミダ)は、脳機能の改善に効果があると報告されています。
なかでも、イミダは鶏むね肉に多く含まれています。認知機能対策としては、イミダ500㎎(鶏むね肉65g程度)の摂取を3ヵ月続けると有効です。また、イミダを食事で摂取するのが難しい場合は、サプリメントを活用すると良いでしょう。なぜならば、一般的に2~3時間かかるお肉の消化に対し、サプリメントの方が吸収が早いためです。そのため、消化にかかる身体への負荷を軽減できます。

イミダが含まれたおすすめレシピ「チキンソテー 梅ソースがけ」

チキンソテーの梅ソースがけ
イミダを効率良く摂取できる鶏むね肉を焼いて、ソースにからめるだけの簡単レシピを紹介します。このレシピには、1人分にイミダが750mgも含まれています。タレに梅干しやレモンも使用しているので、疲労軽減効果が期待できるクエン酸も一緒に摂れるでしょう。

<材料(2〜3人分)>

  • 鶏むね肉 300g
  • 酒 大さじ1
  • 塩 少々
  • 油 小さじ1
  • 梅干し 2粒

<ソース>

  • みりん 大さじ1
  • 酒 大さじ1
  • しょうゆ 小さじ1
  • レモン汁 小さじ1

<作り方>

  1. 鶏むね肉にフォークなどで数ヵ所穴をあけ、酒と塩をなじませる
  2. フライパンに油を引く
  3. 鶏むね肉の皮の方から焼き、焼き色が付いたら裏返して10分ほど蒸し焼きにする
  4. 鍋にソースの材料と梅干しを入れ、混ぜながら温めたら、鶏むね肉にかけて完成

脳疲労を改善して認知症や脳の老化の対策をしよう

家の中で笑い合う中年夫婦
現代社会特有の情報過多やストレスが原因で、脳がオーバーヒートの状態になってしまい、自律神経が乱れてしまう脳疲労。放っておくと、心身に悪影響が出ることもあります。今回紹介した5つの方法を試して、若々しい脳を維持しましょう。