【医師監修】二日酔い対策|50代からのお酒の飲み方。認知機能と飲酒の気になる関係も

#二日酔い #認知機能

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年齢を重ねるにつれて「お酒に酔いやすくなった」「二日酔いしやすくなった」と感じている人もいるでしょう。それは加齢が関係している場合が多く、飲酒は認知機能に影響することも分かっています。今回は、年齢とともに二日酔いしやすくなる原因や、二日酔いの予防・対処法、飲酒による認知機能への影響について紹介します。

この記事の監修医師

中路 幸之助 先生

中路 幸之助 先生

医療法人愛晋会中江病院 内視鏡治療センター所属
米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医
日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医
日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医

加齢によって二日酔いしやすくなる2つの原因

二日酔いで頭が痛い男性
年齢を重ねると、若い時と同じ量のお酒を飲んでも酔いやすくなったり、二日酔いに悩まされたりします。これは、加齢によって身体に変化が起きているためです。まずは、加齢によって二日酔いしやすくなる原因から見ていきましょう。

1. 肝機能の低下

二日酔いしやすくなる原因は複数ありますが、その一つとして加齢に伴う肝機能の低下があります。
アルコールは通常、肝臓で分解されて、吐き気や頭痛などの二日酔い症状を引き起こす「アセトアルデヒド」という物質になります。その後、アセトアルデヒドがさらに他の物質へと分解されると、体外に排出されるのです。

ただし大量にアルコールを摂取すると、肝臓での分解処理が追い付かずに、体内のアセトアルデヒドの濃度が高くなってしまいます。これが、二日酔いの症状が起こる仕組みです。
アルコールの分解速度は30代がピークと言われています。そのため、若い頃と同じ酒量を摂取したとしても、体内の処理機能が追い付かず、二日酔いになってしまうのです。

2. 体内における水分量の低下

体内における水分量の低下も、酔いやすくなる原因の一つです。人の体内にある水分量は赤ちゃんの時が最も多く、80%ほどと言われています。体内の水分量は年齢とともに徐々に減っていき、高齢者になると50%ほどになっているそうです。
体内の水分量が少ないと、アルコールが血中に溶け込むために必要な水分が足りなくなるため、血中のアルコール濃度が高くなります。それにより、二日酔いが起こることがあります。

二日酔いにならないための予防法

日本酒と数種類のおつまみ
続いては、二日酔いにならないための予防法を紹介します。お酒を飲む時に実践、または意識することで、翌日の目覚めが変わってくるかもしれません。

飲む前に食べておく

アルコールは胃で約20%、腸で約80%吸収されます。また空腹時にお酒を飲むとアルコールが腸に早く届くため、吸収速度が速くなることで酔いやすくなるのです。
酔いすぎや二日酔いを防ぐため、お酒を飲む前に食べ物を口にしておきましょう。最初に食べ物を胃の中に入れておくことで、アルコールが腸に届くのが遅れ、吸収速度を抑えられます。
また、空腹時にお酒を飲むと酔いやすくなるだけでなく、胃が荒れてしまうこともあります。胃炎や胃痛の原因につながる恐れがあるので、注意が必要です。
なお、お酒を飲む時は、肝機能の働きを助けるたんぱく質や、タウリンなどを含む食べ物を一緒に摂取するのが理想です。

お酒と一緒に水も飲む

アルコールには利尿作用があります。お酒を飲んでいると脱水症状を引き起こしやすくなり、そのまま飲み続けると二日酔いにつながることも考えられるでしょう。体内の水分量をキープするためにも、お酒と一緒に水(チェイサー)を飲むことが大切です。
また水を一緒に飲むことで、お酒の摂取量が抑えられます。血中アルコール濃度の急激な上昇を抑えられるため、肝臓への負担も軽減できるでしょう。

飲みすぎや一気飲みをしない

二日酔い予防のためだけでなく、健康のためにもお酒は飲みすぎないことが大切です。また、一気飲みは一度に大量のアルコールが体内に入るため、危険を伴います。加齢によりアルコールの処理速度が下がっていることを自認し、酒量をセーブしましょう。

二日酔いになった時の対処法

気を付けてお酒を飲んでいても、二日酔いになってしまうと辛い1日を過ごさなければいけません。ここで紹介する内容を参考にしながら、二日酔い対策を行ってみてください。

まずは水分補給をする

水を飲む男性
二日酔いの朝は身体の水分が不足している状態なので、しっかりと水分補給をする必要があります。飲酒時は尿と一緒に糖分などが体外に排出されるため、糖分や塩分も一緒に摂れるスポーツドリンクがおすすめです。気持ちが悪くてスポーツドリンクが飲めない場合は、無理をせず水を飲みます。
また、二日酔いの症状の中で、特に頭痛はアセトアルデヒドが影響していると考えられています。水分補給をすることで、血中のアセトアルデヒドを薄められれば、頭痛を和らげられるでしょう。

肝臓の働きを助けるビタミンB1を含む食べ物を摂る

ウナギのひつまぶし
肝臓でアルコールを分解する時は、ビタミンB1が大量に消費されることが分かっています。お酒を飲む前にビタミンB1を摂取するのも有効ですが、二日酔いになった時も積極的に摂取すると良いでしょう。
その他、たんぱく質が代謝されて生成するアミノ酸も、肝臓の機能を助ける働きをします。
【ビタミンB1が多く含まれる食材例】豚肉・ウナギ など

炭水化物から糖質を摂る

消化の負担が少ないうどん
二日酔いの対処法として、糖質となる炭水化物を摂ることも大切です。その理由はアルコールの分解に糖質が必要である他、二日酔いの身体は低血糖状態であるためです。炭水化物は脳のエネルギーにもなるので、ボーっとすることも予防できます。
【消化の負担が少ない炭水化物 食材例】おかゆ・うどん・バナナ など

お酒を飲む時に知っておきたい、飲酒と認知機能の関係性

お猪口に注がれる日本酒
二日酔いになるほど大量に飲酒をする習慣がある人は、将来認知症になるリスクが高まると言われています。ここでは、大量に飲酒する人と少量の飲酒でとどめている人の認知機能に対する影響を解説します。

大量の飲酒は認知症につながる可能性がある

認知症のタイプはさまざまですが、なかにはアルコールが原因で認知症になるケースがあります。それが、アルコール性認知症と呼ばれるものです。飲酒量が多い人やアルコール依存症の人は、脳が萎縮してしまう割合が多いと言われています。
また、加齢により認知機能が低下している可能性のある高齢者は、アルコールの影響を受けやすい傾向があります。定年退職後や仲間との集まりで、つい飲みすぎないように注意しましょう。
そしてもちろん、高齢者に限らず若い人でも、大量の飲酒による認知機能低下などのリスクはあるので油断禁物です。

【少量の飲酒】は認知症予防につながる可能性がある

大量の飲酒が認知症のような脳の機能低下を引き起こすリスクがある一方、少量の飲酒であれば認知症の予防につながるという調査結果※があります。しかし、もともと飲酒の習慣がない人が少量の飲酒をしても、認知症を予防する効果は認められていません。そのため、飲酒をしない人は健康的に生活し、認知機能の低下を予防する他の方法を積極的に行ったほうが良いでしょう。
※出典元:松下幸生, 丸山勝也.アルコール依存と認知症.からだの科学 251: 39-44, 2006.
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-01-007.html

認知機能の低下を予防するためにできること

テーブルに並べられた和食
認知症や物忘れなどの認知機能の低下は、普段の過ごし方を少し意識するだけで予防できます。最後に、飲酒の習慣がない人でも認知症の予防のために実践できる生活習慣について紹介します。

基本:生活習慣病にならないよう気を付ける

認知機能の低下を予防するには、健康的な生活を送って生活習慣病を防ぐことが欠かせません。なぜならば、高血圧や糖尿病などの生活習慣病の人は、認知症になりやすい傾向があると言われているからです。
生活習慣病は血管にダメージを与えることが多く、脳の血管にも影響を及ぼすと考えられています。脳の血流が悪いと、認知症の原因になる老廃物などが蓄積する恐れがあります。既に生活習慣病がある人は、まずは治療を優先しましょう。

予防方法①食事内容に気を配る

バランスの良い食事は、健康維持にも認知機能低下の予防にも重要です。魚・肉・野菜などをバランス良く食べることで、脳や身体に必要な栄養を送れます。食事の際は、塩分や糖質の摂りすぎに気を付け、食事量の目安を腹八分目にすることを心がけてください。

予防方法②適度に運動をする

運動は脳に刺激が行くため、認知機能や生活習慣病の予防に効果的とされています。例えば水泳やウォーキングなど、有酸素運動を20~30分行うと良いそうです。週に2~3回を目安に運動する習慣を身につけてはいかがでしょうか。

予防方法③イミダゾールジペプチドを積極的に摂取する

運動をすると、どうしても疲労が溜まります。疲労軽減におすすめなのが、イミダゾールジペプチド(以下、イミダ)の摂取です。イミダは、鶏むね肉やマグロの尾ビレなどに多く含まれている成分で、疲労軽減だけでなく認知機能改善にも役立つことが分かっています。
イミダを20年以上研究してきた日本ハム㈱中央研究所は、イミダが豊富に含まれる「イミダレシピ」を提供しています。どれも簡単に作れるレシピなので、ぜひ毎日の食事に取り入れてみてはいかがでしょうか。

予防方法④人との交流を持つ

人との交流を持つことも、認知機能低下の予防におすすめです。趣味の集まりなどコミュニティーの中に身を置くと、役割を持って行動する機会があるでしょう。それによって脳に刺激が行くと、認知症予防に良いとされています。

二日酔いを防ぎつつ、お酒を楽しもう

ビールで乾杯する人たち
人は加齢とともに身体機能が低下するため、二日酔いになりやすくなります。二日酔いを予防するためには、お酒を飲む前に食事をする、水も一緒に飲むといった工夫が必要です。また、大量の飲酒は脳へ影響する可能性もあります。二日酔いや認知機能の低下、そして生活習慣病を予防するためにも、健康的な生活を送りましょう。